骨髄採取キット欠品への対応状況
マスコミ報道等でご存じの方も多いと思いますが、昨年12月、骨髄移植のため骨髄採取時に9割以上の病院で使用されている米バクスター社の「ボーンマロウコレクションキット」が在庫不足となり、今年2月以降の移植が一時的に難しくなるおそれがあることが明らかになりました。このキットはドナーから採取した骨髄液を濾過し、その中の不必要な成分を取り除く器具であり、骨髄を移植された患者に血栓ができるのを防止するのに欠かせないものです。バクスター社はこの製品の製造部門を売却しましたが、新製造工場での製造認可が遅れているため、製品の供給開始が今年4月頃までずれ込む見込みとなっています。日本では米バクスター社の製品が唯一承認されており、このままでは2月中旬以降、キットが在庫切れにより骨髄移植ができなくなるおそれがあります。
その後、骨髄移植推進財団と日本造血細胞移植学会で対応策を検討し、同様の機能を持つ米バイオアクセス社の代替品を600個確保し、医師による個人輸入の形で供給できるよう、準備が進められています。ただ、この製品は日本では未承認のため保険適用がされず、使用した場合は混合治療として骨髄移植にかかる費用全体(600万〜900万円)が全額自己負担になってしまうこともあり得ます。治験や高度医療としての使用も考えられますが、時間的に見て困難であり、唯一残された解決策は、この代替品に対して国が迅速に審査を行い承認することしかありません。
財団や学会は厚生労働省に対して要望書を提出し、舛添厚生労働大臣も記者会見で「承認を大急ぎでやり、移植を受ける患者の経済的負担や、医療機関の負担が増えないようにしたい」と述べていますが、1月下旬の段階ではまだ承認の見込時期等は明らかにされていません。
東京の会が加盟する「全国骨髄バンク推進連絡協議会」では、この問題が明らかになってまもなく、厚生労働省に対し、キット在庫不足に関する迅速な情報公開を求めるとともに、代替未承認キット使用による患者負担増加の回避を求める要望を記した署名活動を開始しました。この署名は1月末でいったん集約し、2月初めに厚生労働省へ提出する予定です。この会報がお手元に届く頃には、国の承認が行われ、患者が安心して移植を受けられるようになっていることを祈りたいと思います。
今回の問題は、医療品の製造会社の不手際が直接の原因ではありますが、1つの製品しか承認されていなかったことが危機的な状況を招いた背景にあります。問題が明らかになってからの対応は、財団・学会とも迅速に行われたと思いますが、これを機会に他にも似たような問題がないか、また、危機管理のあり方についても見直しを進めて欲しいと思います。 (二見茂男)


