患者負担金わずかに軽減 更なる工夫と努力で積み増しを望む
東京の会ではこの5月に、
⑴現行患者医負担金271,000円の5万円以上の減額を求める。
⑵昨年来の財団内部の混乱が再発しないよう経営刷新を求め、その方法として理事、評議員、幹事等の連続再任について制限を設定してはどうか。
との要望をご賛同くださった2200名あまりの皆様の署名を添えて行いました。
7月26日(水)開催の臨時理事会、続いて開催された臨時評議員会で平成18年度第一次補正予算と共に、患者負担金軽減について審議され、次のとおり決定されました。
①ドナー確認検査手数料を9,000円/人とする。(3000円/人減額、標準4名分12,000円の減額)
②患者HLA検査料の検査業者の値上げ分1500円と消費税を財団負担とする。
③患者主治医の希望で実施するその他検査料(オプション検査)は検査料実費を患者負担とする。
④この改定(第10次改定)は平成18年8月1日より適用する。
以上のとおり減額は標準のドナー4人の場合で12,000円の減額で患者負担金は259,000円となります。
経営刷新についてはなしのつぶてです。趣旨に賛同して署名してくださった皆様の期待に添えない結果となり、まことに残念な思いでいっぱいです。
今回の改定に際し、財団がまとめた基本的な考え方は次のとおりです。
(1)総論
①骨髄バンクシステムを将来にわたって安定的に運営していくための投資と財政健全化のための努力が必要
②国、ボランティア団体からの患者負担金軽減要求に可能な限り応える。
③職員のモラール向上のため、人事・給与制度の見直しと患者負担金軽減は併せて行う。
(2)国の指導
①17年度に収支差額が1億円発生したので恒久的患者負担金値下げを行うこと
②検査会社の値上げ分のうち、基本的患者確認検査料とドナー確認検査(一般血液検査)料については、当面患者負担としない。ただし、オプション検査については消費税を含めて患者の実費負担としてもよい。
今回の患者負担金軽減額の算出にあたって財団が作成した18年度から22年度までの収支シミュレーションを見ると、患者負担金値下げへの要請が強まることを避けるため、収入を増やさず(17年度に対し、1%から3.4%増)、支出を増加させて(13%から27%増)収支を合わせ、収支差額が発生しないよう設定しています。
支出増は、主として連絡調整等事業費を17年度に対し、比率にして27%から35%増、金額にして1億4500万~1億9000万円増、普及啓発事業費を17年度に対し、比率にして12%から16%増、金額にして2900万~3700万円増加させています。また人件費については17年度に対し、比率で13%から27%、金額にして5800万~1億2300万円増を見込んでいます。
事業量の目安として国内移植件数の見込みを見ると5年間で12.4%、単純平均で2.4%の伸びを見込んでいるにすぎないのに、連絡調整等事業は費用の増加が事業の伸びの約3倍に達する見込みでコストパーフォーマンスが悪化せざるを得ません。普及啓発事業については、義務教育学校施設へのPR広報として壁新聞の発行送付を計画しており、予ねてからボランティアの中で意見が交わされていたことが実現することは喜ばしいことですが、これらの費用増は工夫を重ね、無駄を省くことよって増加分を減らし、患者負担金減額の原資を増やすことが可能と思われます。
今回、財団では検討対象としなかったように思われますが、第15回常任理事会席上資料10のHLA委員会答申によれば、
⑴患者とドナーのDNA型に基づく照合が実施された結果、患者1人あたりの確認検査実施ドナー候補数(中央値)が3人と前年比1名減となったと報告されている。これが定着すれば標準患者負担額を財団の負担と無関係に減額表示が可能である。
⑵現在SBT法で行われている患者HLA検査を蛍光ビーズ法の採用により精度を下げることなく、患者負担を少なくできる。HLA̶C適合度に基づいたドナー選択により移植成績が向上することがJMDPを介した移植症例の解析で明らかであり、蛍光ビーズ法によるHLA̶C検査を患者検査の必須検査として導入する旨提案されている。
HLA委員会の答申を実施することにより、患者負担金の軽減と移植成績の向上に資することができるのであれば、財団として是非取組むべきでしょう。
7月26日の臨時評議員会で評議員の一人から、検査料金の値上げに関連して、検査機関の選定と料金設定について、競争入札を行っているかとの質問がありましたが、財団では競争入札を取り入れていないようです。
検査だけでなく、広報グッズ等の発注も含めて、随意契約をできるだけ排し、競争入札を採用して経費の節減を図り、良好な財務体質を作り上げて患者負担金軽減を恒常的に継続して欲しいと思います。
また患者負担金の軽減対策として医療保険の役割を忘れてはなりません。今年度は対象となりませんでしたが、2010年4月の医療保険見直しに向けて財団は、現行患者負担金の保険適用について調査検討を進めるべきでしょう。 (新田恭平)


