2007年は30万人登録達成の年 ~新年に骨髄バンクの課題解決を望む~
骨髄提供希望者(ドナー)登録数は骨髄バンクの速報によれば、昨年11月末現在、約26万8000人となり、12月末には27万人に達するのは確実です。最近の年間ドナー登録者純増数が3万人をクリアーしているので、平成19年中に30万人目標達成は確実でしょう。
現在、骨髄バンクでは30万人目標達成後の目標をどう設定するのか、HLA検査の二桁ドナー(血清型)と四桁ドナー(DNA型)の問題にどう取り組むのか等を主たるテーマに「将来展望に関する検討会議」が設置され、今年6月までに答申が出される予定で作業が行われています。
第一のテーマは、現在のドナー登録目標達成後、登録取り消し者数を補うことを目標とするか、目標値を特定せず、年度目標のみ設定してドナープールを可能な限り大きくしていくのかが課題です。
第二のテーマは骨髄バンク発足以来行われてきた血清HLA検査による登録者と平成17年3月から導入されたDNA検査による登録者のデータレベルを合わせるために、どのような手続きを進めていけばよいかの問題です。移植医の立場では、DNA検査による登録者を検索して適合者がなければ、他の方法、たとえば臍帯血を選択し、手間と時間がかかるため、血清HLA検査によるドナー登録者には目が向かない結果となっていることもあるのではないかと思われます。
骨髄バンクはこのほかにもいろいろな問題を抱えており、解決されていないのが実情です。主なものを列挙すれば次のとおりです。
⑴患者負担金の軽減
⑵コーディネート期間の短縮
⑶多額の繰越金発生体質の改善
⑷職員退職率の低減対策の実施
⑸人事労務管理のコンプライアンスの確保
⑹理事・評議員・監事等役員の就任期間長期化によるマンネリ化等弊害予防対策の実施
患者負担金は昨年8月に平均で9000円、27万1000円が26万2000円に値下げされましたが、根拠となった財務計算に若干の過誤があり、またオプション検査数万円が患者負担金として上乗せされるため、実際の負担額は軽減額を上回っているのが現状のようです。
コーディネート期間は迅速コースで約100日となっているようですが、標準で100日を切るよう挑戦してはどうかと考えます。
数年前、年度繰越金が大きくなりすぎて、厚生労働省の臨時の立ち入り検査を受けたことがありましたが、18年度も多額の繰越金が発生する可能性があるようです。これを防ぐための経費の無駄遣いがあってはならない、そのための内部統制機能が正常に働く組織であることを切に望みます。
職員退職率は16年度から漸増し、17年度にピークに達し、年間約70名そこそこそこの職員中、27名が退職しており、検討委員会の答申が実施されたにもかかわらず18年度も退職者が相次いでいるようです。人が意欲を持って仕事をするのは金銭だけによるものでないことは、ホーソン実験により確立されたヒューマンリレーション理論によって明らかです。3年間で職員の半数以上が入れ替わるのは異常であり、組織の職務知識水準や判断力の低下は否めないのではないかと思います。
これらの問題は、いずれも相互に関連しており、企業でいえば各要素のバランスをとりつつ経営の舵取りをしていくかの問題です。骨髄バンクの運営に責任を持つ役員や幹部職員の方々には、マンネリを廃し、人事労務管理のコンプライアンス(法令順守)を確保すると同時に、事業計画、予算編成、経費支出等に目を配り、財団の設立目的に沿ったコーポレート・ガバナンス(企業統治)を確立されることを望みます。
新年にあたり、骨髄バンク(骨髄移植推進財団)にエールを送るとともにお願いする次第です。(東京の会代表・新田恭平)



