財団が主動で署名活動を開始 骨髄バンクの医療保険適用
骨髄移植推進財団(以下財団)は1月31日の常任理事会で「平成20年診療報酬改定に向けての取り組みについて」審議し、承認しました。その内容は次のとおりです。
(1)移植医療に不可欠な過程であるコーディネートに要する費用を拡大し、情報検索連絡調整費用に係わる費用等を現行1万点から2万点に増額を求める。
(2)移植医療に不可欠な骨髄液を採取する採取施設の心理的・物理的負担を評価し、移植骨髄穿刺の診療報酬の増額を求める。
その取り組み方法として
①厚生労働大臣・関係機関への陳情
②衆参両議会の議長宛に請願書を提出するための署名活動
署名活動については、全国のボランティア団体、ライオンズクラブ、患者支援団体に協力を求めるとしています。
翌2月早々には、財団事務局の責任者が全国協議会事務局を訪問、文書をもって署名活動への協力依頼が行なわれました。その文書に本件署名活動に関する照会専用の電話番号が記載されており、また、2月1日に早速依頼用紙の配布をして署名活動を開始したボランティア団体もあると伝え聞いています。財団としてはまれに見る電光石火の早業です。
従来、財団では政府系団体の一つとして、このような事案の改定については、管轄する厚生労働省臓器移植対策室を通して陳情し、今回のような国会への請願活動を財団が直接行なうことはなかったと記憶しています。この点について全国協議会のメーリングリストにも違和感を述べた意見表示が見られました。他にも違和感を持った人たちがいる筈です。
東京の会には、本稿作成中(2月22日現在)財団の依頼文書は配布されていないのですが、別途入手した文書を見ると、保険適用の範囲拡大で増額された医療保険収入の配分について不明確です。保険適用の効果として財団が依頼文書に説明しているのは次の三点です。
①非血縁者間骨髄移植に特有のドナーコーディネートに対する保険の適用範囲が拡大することにより、患者負担金を軽減できる。
②採取施設の人的・物理的負担軽減により、採取施設の調整が容易となり、迅速なコーディネートが可能となる。
③情報検索連絡調整費用の増額によって、骨髄バンクの運営経費が確保され、安定的な供給体制が構築できる。
この説明の第①項患者負担金軽減は1月31日の常任理事会審議資料には「更なる患者救命のためには、患者の経済的負担の軽減も課題として取り残されている」とだけ触れられているのみで、議案としてとり上げられていません。これは不注意による漏れでしょうか。あるいは財団の本意は患者さんの負担金を本気で軽減することになく、先に開示された平成19年度予算案において国庫補助金が若干減額されたことに対処するため、第③項の骨髄バンクの運営経費の確保にあるのではないかと疑念を生じます。1万点すなわち10万円の増額が認められた場合の、患者負担金の軽減額、運営経費への組み入れ額を明らかにすべきです。
第②項の採取施設の人的・物理的負担軽減は保険適用により、どのような問題がどのように改善され、その結果、調整が容易となるのか、コーディネート期間が短縮されて迅速化されるのか、抽象的で私たちには理解しがたいところがあります。
私たちボランティア団体としては、患者さんの救命とドナーさんの安全確保を第一義と考え、そのために財団が本当に必要な業務体制を確立するのであれば署名活動であろうと国会への陳情活動であろうと厭うことなく支援していきたいと考えています。
しかしながら、署名をお願いする場合、協力を得るにはいろいろな質問、たとえば、患者さんの負担金はいくらがいくらになるのですかとか、患者さんが患者登録してから移植を受けられるまでの期間は?といった質問にお応えする必要がります。
上記のような疑問・疑念をもちながら、今回の署名活動に全力投球で協力することに抵抗を感じるボランティアが多いのではないでしょうか。(新田恭平)

