財団における「骨髄バンク将来展望」の検討
骨髄バンク将来展望に関する討論会議は、財団理事会のワーキンググループとして、当初、本年6月までの期限で理事会の諮問事項の検討機関として、平成18年10月に発足しました。当初の課題であった、①有効ドナー30万人達成後のドナープールのあり方、②安定的な骨髄仲介とコーディネート期間の短縮について検討し、有効ドナー30万人達成後のドナープールのあり方については平成19年3月に中間答申が行われました。
安定的な骨髄仲介とコーディネート期間の短縮については、検討会議が本年12月まで存続され、その他の課題も含めて検討が継続されています。
●組織検討委の職員待遇改善答申
財団においては、平成17年度から職員の退職が続き、組織検討委員会が設置されて職員の待遇改善について答申が行われ、平成19年度に実施されました。この改善に関する答申は財団の収入構造、すなわち国庫補助金、患者負担金、一般寄付金からなる収入構造から見て、特に患者負担金の軽減と併せ行うべきであるとの趣旨が述べられていましたが、財団は長期的には財政の安定が保てないとの観点から、財団努力による患者負担金軽減は見送られています。本年7月に患者HLA検査負担金が10,500円引き下げられましたが、これは検査会社の努力によるものです。職員の退職については平成17年度ほどではないようですが、続いているようです。
職員の定着率が低い組織では、職務熟練度の向上が妨げられ、高勤続者の離脱は習熟度を低下させ、組織の信頼性を損なうことになります。人は、組織の中で自分の存在が認められ、自分の役割に誇りがもてれば、士気が上がり、組織を離れることはないのです。
この8月15日付けで財団で人事異動が行われました。新しい常任理事をはじめ新体制の下で財団が、働きやすい、風通しの良い職場となり、職員の皆さんが誇りと喜びと充実感を持って働ける職場となるよう願ってやみません。
●社会システムと情報
造血細胞移植事業は骨髄バンクだけの事業でなく、骨髄バンク、日本赤十字社、血液難病に係わる医療機関、関係官公庁、そして、それぞれの組織に係わるNPO団体、ボランティアの人たちによる総合的社会的システムです。
社会的システムは、それに係わる各組織が目的に沿って合理的に編成されているばかりでなく、具体的に活動が発動されるに当たっては、情報連絡システムに裏打ちされていなくては組織全体は動きません。適時に、必要な組織に、必要な情報が伝達され、受けた組織が適時に、必要な反応(レスポンス)を起こせる仕組みです。
●コーディネートと普及広報
骨髄バンクの将来展望の検討で残された課題は、安定的な骨髄仲介とコーディネート期間の短縮と造血細胞移植事業に関する普及広報活動のあり方と思われます。
コーディネート期間の短縮については、本誌184号(2007年8月1日)編集者雑記にて本年上期実績が昨年実績に対し13日も伸びたことを指摘しています。財団としては真の原因を突き止め、解決していかなくてはなりません。業務量が増え、マンパワーが足りなくなったという抽象的な結論でなく、どの業務がどれだけ増加し、従事している職員の誰と誰にどれだけの負荷が増したのかが明らかにされなければなりません。
普及広報活動のあり方については広くボランティアを含めて参加を求め、患者さん、ドナーさんの視点を考慮して企画していく必要があろうかと考えています。このような場を設けると、いろいろな意見が飛び交い、ときとして財団幹部の皆さんには耳に快くない意見も出されるかもしれません。しかし、反対意見の出しにくいような組織運営は、とかく我田引水に陥りやすいのです。
(東京の会代表代理 新田恭平)

