最終同意語の同意撤回は「不可」で結論 システム改善の課題は残る
11月号の「ドナーの骨髄提供辞退の自由の保障について」という記事で、新聞報道された最終同意後の同意撤回問題を取り上げましたが、財団は11月9日の常任理事会で、ドナーに対して「最終同意後は撤回できない」とする説明を継続することを決定しました。ただし、患者に対しては「最終同意後もきわめてまれに翻意の申し出があり、万一このようなことが起きた場合は強制できないため提供いただけないことがあります」と説明することになりました。
この問題は、財団がWMDA(世界骨髄バンク機構)への加盟申請を行ったところ、この説明が「善意のボランティアであるドナーはいつでも提供を辞退できる」とするWMDAの基準と合わないという指摘を受けたため、財団内部で再検討が行われていたものです。
結果として現状維持とした理由として財団は、
①日本独特の制度として、最終同意において家族の同意も必要としており、「いつでも辞退できる」とした場合、家族の意向に左右されて、骨髄提供時まで不安定な状況が続き、患者およびドナー本人へ大きな影響を与えてしまうこと
②NMDPで行われているダブルワークアップ(最終同意後に2人のドナーが並行してコーディネートを進行すること)を標準化するには、ドナープールの拡大とともに採取施設の許容量を倍増する必要があり、現状では体制が整わないこと
③ドナーはボランティアであっても骨髄提供に同意をすることは、その後何らかの患者に対する責任を生ずる、つまり撤回できないことになるのではないか
④ドナーはコーディネートの早い段階から辞退可能な期間について説明され、最終同意後に同意を撤回しないという条件を受け入れており、「最終同意後は撤回できない」と説明することが強制することにはならない
などを挙げています(詳細は財団ホームページに記載)。
また、きっかけとなったWMDAの認定に関しては、「財団がドナーに提供を強制しているものではない」と理解され、承認が得られたとのことです。
先月号の記事では、骨髄提供を強制するのではないという立場を貫くのであれば、「ドナーはいつでも提供を辞退できる」という初期のコンセプトに戻り、さい帯血バンクとの連携等によりダブルワークアップシステムの構築に取り組むべき、との意見を掲載しました。
今回の財団の判断は、慎重な検討が行われた結果であり、その判断理由についても、一定理解できます。また「ドナーは提供を強制されない」ことが明確になり、万一の場合について患者に説明することになったことも、全身と言えると思います。ただし、10月号の編集者雑記でも指摘があったように、ドナーへの説明が財団発足時からたびたび変更され、その決定過程が不透明であったことや、関係者への周知が不十分であったことは、財団として大いに反省する必要があります。
また、同意撤回以外にも不測の事態で提供ができないこともあり得えます。ダブルワークアップ等のセイフティネットについては、「現状では体制が整わない」として放置することなく、システム構築に向けて検討を進めるべきだと考えます。
なお、財団は判断理由の1つとして「骨髄提供に同意したドナーは患者に対して何らかの責任が生じる」としていますが、その責任はあくまで道義的責任であり、損害賠償の事案となりうる法的責任ではないと考えますが、この点についてもきちんと整理しておく必要があるのではないかと思います。 (二見茂男)



