患者を苦しめる差額ベッド代の解消を
全国骨髄バンク推進連絡協議会は、3月16日に、舛添厚生労働大臣に対して「骨髄バンクを介した『特別療養環境室(差額ベッド)利用により発生する費用』について」と題する要望書を提出しました。
骨髄バンクのドナーが骨髄提供のために入院した際に、採取病院によっては差額ベッド代が発生し、患者負担となっています。金額は様々ですが、中には4日間の入院で数十万円の請求をしている病院もあることが、全国協議会が運営する「佐藤きち子基金」(注:経済的に困窮している骨髄移植患者への資金給付制度)への給付申請でわかっています。病院名は伏せますが、私も以前、東京の会の会員だったドナーが、ジャグジーまである最上階の高級ホテルのような部屋に入っていたのを見てびっくりした経験があります。
骨髄移植推進財団によると、差額ベッド代がかかる病室にドナーを入院させるのは「健康なドナーへの感染症等への配慮を考えての措置」とのことですが、医療上の必要による場合は差額ベッド代を請求できないという原則があります。中にはドナーが個室等を希望するケースもあるのかも知れませんが、そもそもドナーは入院の際に部屋の希望は聞かれていないのが実態だと思われます。私は提供の際コーディネーターに大部屋を要望し、実現しましたが、差額ベッド代が患者負担になることをドナーが知っていれば、聞かれたら私のように大部屋を希望する人が多いのではないでしょうか。
また、患者はドナーの採取病院は知らされませんし、差額ベッド代がかかるかどうかも事前にはわかりません。骨髄移植を終えてほっとした頃に、いきなり高額な費用を請求されて途方に暮れてしまうのです。背景には病院の経営事情があるものと思われますが、逆にドナーを個室等に入れても差額ベッド代を請求しない病院もあるようです。患者間の公平性を確保するためにもきちんとしたルールを確立する必要があります。
全国協議会が提出した要望書は、①ドナー入院時にドナーからの利用要望があった場合以外は差額ベッド代を請求しないよう病院を指導すること、②差額ベッド代を徴集しなければ採取できないという病院については、金額と病院名を患者とドナーに事前に情報提供し、納得の上で選択できるようにすること、③差額ベッド代がなければ採取病院を引き受けられないという事情があるなら、骨髄バンク事業の公平性、公共性確保のため必要な対策を講じること、を国に求めています。
全国協議会の動きを受けたものかどうかはわかりませんが、財団はこの4月から、生活保護受給世帯に対してドナー入院時の差額ベッド代を財団が一定負担すると発表しました。これは条件に合致する患者にとっては朗報と言えますが、根本的な解決にはなっていません。そもそも高額な差額ベッド代が患者に請求されることが問題なのであって、その費用を善意の寄付から成り立っている「佐藤きち子基金」や財団が肩代わりするのも本来おかしな話です。
東京の会としても、要望書に対する厚生労働省の対応に注目するとともに、全国協議会とも連携しながら、この問題に取り組んでいきたいと思います。 (二見茂男)


