20周年記念イベント「プロジェクトX」上映&講演会
ドナーに感謝!「あなたがいたからボクは生きている!」
11月20日、港区芝浦の田町交通ビル6階ホールで、東京の会設立20周年記念イベント「決断!命の一滴 ~白血病・日本初の骨髄バンク~」が開催されました。
まず初めにNHK製作の「プロジェクトX 決断!命の一滴」DVDが会場で上映されました。8年前にテレビで放映された番組ですが、あらためて今、全編をゆっくり見ることができました。骨髄バンクを設立しようとした大谷貴子さんの強い思いと、森島先生やその他医療関係者の努力、そして何より患者さん本人やその家族、回りの人達の現状を打開しようという真っ直ぐな気持ちが伝わってきて、再び心に迫るものがありました。今までに無いものを作るという気の遠くなるような道のりを、いろいろな反対や非難を浴びながらも地道に、あるときは強力に推し進めた努力にあらためて敬意を表したいと思います。
上映の後、当人の大谷貴子さんが盛大な拍手の中、舞台に登場しました。自分の病気・闘病・母親からの骨髄移植を経て、生還したことへの思いや、残念ながら亡くなってしまった園上さおりさんへの思い、当時の状況を本人の口から聞くことができ、その熱い思いと困難に立ち向かう姿勢に感動しました。骨髄バンクが存在する現状が、いかに恵まれているのかにあらためて気付かされました。
その後スペシャルゲストの原千晶さんが大谷さんから呼ばれ、舞台中央に立たれました。数日前に、自身の子宮ガン闘病をマスコミを通してテレビの生放送でカミングアウトしたばかりで、その体験を聴衆の前で披露するのは初めてのことであり、緊張の面持ちで近況を報告されました。子宮頸ガンと診断されたのは30歳のときで、少しの細胞を摘出して症状がなくなりましたが、その後再び体調が悪化し、今度は子宮体ガンになり、調子がいいからと病院での定期検診をサボっていたことを大変後悔した、そんな体験から、子宮頸ガンについて今後広く知ってもらうための活動を続けていきたい、と、6年に渡るガンの治療とその間のご自身の気持ちや思いの変化を時々涙を浮かべながら会場に語りかけてくれました。
2人の話の後、骨髄移植を受けて元気になった荒井daze善正さんと宮城じゅんさんも舞台に上がって、闘病の体験談を語ってくれました。プロスノーボーダーの荒井さんは、プロとして独り立ちした矢先に慢性活動性EBウィルス感染症を発病、100万人に一人と言われる難病にも負けずに、再びゲレンデでプロとして復帰することを目標に治療に耐えました。骨髄バンクでドナーが見つかり、移植を受けて今ではまたゲレンデに立つことができました。dazeの愛称は、オリンピック代表の國母和宏さんが名付け親で、國母さんは荒井さんのために治療費の募金活動を先頭に立っておこなってくれていたそうです。
もう1人の元患者、宮城さんは7歳の時にお兄さんより骨髄移植を受け今年で20年、新しい命をもらってからの成人式です。いのちを長らえた今、体力をつける意味でもマラソンを始め、自身が骨髄移植で元気になって病気を克服したことを広くみんなに知ってもらいたくて、マラソン大会に出場する時には胸に大きく「骨髄移植しました!」と書いたTシャツを着て、沿道のみんなに目立つように走り続けているとのことでした。
2人とも「今いのちがあるのも、大谷さんが骨髄バンクを作ってくれて、そしてドナーがいたから。その他ボランティアや医療関係者など皆さんのおかげです。
心から感謝すると共に、今闘病している全ての患者さんに生きる希望が持てるように、さらにドナーが増えるよう、できる努力をおこないます!」と、力強く訴えられました。
また、客席の中からも移植を受けた患者さんが、ドナーはもちろん骨髄バンクの設立や運営に携わっている全ての人に感謝している、その事を今日会場にいる方々に一言伝えたかった、と手を挙げてご挨拶して下さいました。
大谷さんに突然呼ばれてステージに上がった、ご主人がドナー経験を持つご家族や、東京の会保居事務局長のドナー体験談など、あっという間の2時間半でした。本当は、もっともっと大勢の聴衆の前で披露したい、とっても素晴らしい内容でした。今後は「出前講演会」などの形をとり、人が集まる場所へ出向いておこなうイベントを企画することが重要だと痛感しました。 (若木 換)
●参加した聴衆の声
感動しました! NHKで出演した人が目の前で話してくれて、思いもよくわかって、良かったです。患者さんからの生の闘病の様子や思いも直接聞けて心にひびきました。原千晶さんの訴えも良かったです。大谷貴子さんは、話が上手で乗りも良くて、むちゃ振りの得意な、本当に面白い人ですね!感動しました!
●裏方から見たプロジェクトX
東京の会設立20周年記念イベントが開催されました。当日は裏方作業のため、席でゆっくり皆さんのお話を聞けたわけではないのですが、非常に有意義なイベントとなりました。
「プロジェクトX 決断命の一滴」では、作業モニターを見ながら目頭が熱くなりました。私自身、鑑賞するのは2度目でした。1度目は、ドナーとして骨髄提供をする際の確認検査をしたころだったと思います。そのころは、ドナーになるワクワク感に満ちていました。また、最終同意を前に改めて自分が何をするのかを両親に説明できるよう、骨髄移植やドナー体験記、患者さんの闘病記を読み漁っているところでした。親は心配するだろうから、ちゃんと理解することが自分の責任だと考えていたためです。ただ、骨髄バンクができた歴史や患者さんの思いを知れば知るほど、「今はバンクがある。自分は絶対にドナーになる!」という思いが強くなって行きました。
2度目を見た今回も、改めてはっとさせられました。「ふつうのお嫁さんになって、ふつうのお母さんにになって、ふつうのおばあさんになって、ふつうに死にたい」このような思いで亡くなっていった患者さんがいたのです。「ふつうの……」という言葉が映像になって流れるたびに、「まだ全ての患者さんに骨髄が行き渡っているわけではない!こんな思いをする人が居なくなるように、頑張ろう!」と決意を新たにしました。
プロジェクトXの上映も終わり、スクリーンの幕上げも完了し、イベント中の裏方作業が終わったのでほっとしていたところ、ドナー経験者の奥様として、佐々木さんが舞台に呼び出されていました。予定に無い出来事です。出ました。大谷さんの必殺技「ムチャ振り」です。裏方もほっとしていられません。大谷さんのムチャ振りに、裏方として最大限のパフォーマンスを発揮したのもつかの間、「次は東京の会の保居さんに話を聞いてみましょう」という、大谷さんの声が聞こえてきました。次のターゲットは私でした。その後のやり取りは、必死だったのでよく覚えていません。プロジェクトXを見て、いろいろな思いが強くなりすぎていたんだと思います。でも、そこはさすが大谷さん、うまくフォローしてくださいました。あやちゃんカレンダーが好評発売中ということも、告知できました。
イベントの参加人数は少なく、準備不足もあった課題の多いイベントにはなってしまいましたが、次の20年につながる記念イベントになりました。でも20年後には、特効薬ができて骨髄バンクが解散しているというのが理想ですね。 (保居範昭)
大谷貴子さん
左から大谷さん、荒井さん、原さん、宮城さん
