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ドナー体験記「共に助け合える社会を・・」
中野義樹

中野義樹さん皆さんは骨髄採取についてどんなイメージを持っておられるでしょうか。「メスで骨を切られるの?」「脊髄に注射針を刺しても大丈夫なの?」・・・これはどちらも間違いです。「骨髄バンク」についてはテレビや新聞の報道などで知られるようになってきましたが、まだまだ誤解が多いというのが現実です。

私は1992年の骨髄バンク事業がスタートした時からドナー登録をしていましたが、2000年秋に骨髄バンクを通じて骨髄を提供しました。以下に私の体験についてお話をさせていただきます。

骨髄液は腸液と呼ばれる腰の骨から鉛筆の芯ほどの太さの針の注射器で採取されます。採取は全身麻酔下で行なわれますので採取中に痛みを感じることはありません。麻酔から醒めた後、個人差はあるそうですが、採取部位に痛みを感じる人や発熱やのどの痛み等の諸症状があらわれる人がいるそうです。私の場合は想像以上に軽いものでした。

骨髄提供はよく「溺れている人を助けること」に例えられます。骨髄採取の際には前述のとおり全身麻酔をかける必要がありますが、確率は極めて低いとはいえ事故の危険性があります。 ドナーの死亡事例も今までに世界で4件報告されています。私がそうしたことを知りながら骨髄提供したのは、自分が溺れている人を放っておけない性格だったからとしか説明のしようがありません。

確かに不安もありましたが、事前に詳しい健康診断や麻酔に関する充分な説明があったこと、また採取のための入院時には医療スタッフによる万全な管理体制が採られていたことにより安心して提供に臨むことができました。

「自分の存在が他の人の喜びにつながる」というテーマの講演会を聞き感銘を受けたことがあります。どんなに優秀なスタッフがいても、どんなに最新の医療技術・設備が整っていても、ドナーがいなければこの医療は始まりません。医者でもない私が人の命を救う手助けができたことは自分にとってとても貴重な体験でした。

採取された日の夜、担当医から「先程、無事に移植は終了したとの連絡が入りましたよ。」と聞いた時は、自分の役割を果たせたことの安堵感を感じました。少し大袈裟かも知れませんが、私は骨髄ドナーになったことによって「生まれてきてよかった。生きていてよかった。」と思えることの幸せを実感しています。

もちろん骨髄提供は自分一人だけの力でできるわけではありません。支えてくれた家族・友人。快く送り出してくれた職場、励ましてくれたボランティア仲間、いつも丁寧な説明をしてくれた移植コーディネーター、医療関係者、骨髄移植推進財団・・・等々たくさんの人の理解と協力が不可欠だったことは言うまでもありません。

私が特別やさしい心をもった人間だったからというわけではなく、このやさしさの源は「骨髄バンク」のシステムそのものであると思います。私利私欲が行動原理であるかのような今の世の中にあって、人のやさしさや繋がりを「骨髄バンク」には感じることができます。私にとってその「骨髄バンク」に協力することは自然なことであったとも言えます。私は骨髄バンクのボランティアに関わっていますが、その活動を通して「運や偶然に頼らなくてもいい社会」にしたいといつも考えています。

 
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