骨髄バンクと骨髄移植のしくみ
血液の病気は化学療法や骨髄移植で完治することができます。
しかし、骨髄移植をするには、患者と提供者のHLA(白血球の型)が適合しなければなりません。
HLA型の適合率は、兄弟姉妹で4人に1人(25%)と言われており、血縁関係がないと数百人から数万人に1人の確率とされています。
(HLA型は白血球の型ですので、血液型が違っていても提供することができます。)
骨髄バンク
1991年12月に、血縁者にドナー(骨髄提供者)のいない患者さんを救うために骨髄バンクが設立されました。(日本骨髄バンク)
骨髄バンクは患者さんと血縁関係のないドナーさんとの仲介役をする組織です。
骨髄バンク登録
骨髄バンクへの登録は最寄りの献血ルームや保健センターなどですることができます。
登録したからといって、すぐに骨髄を提供することになるのではなく、患者さんとHLA型がマッチングした場合に骨髄バンクから通知が届きます。登録して10年経過しても連絡がない方や、登録してすぐに通知が来る方もおられます。
登録から骨髄提供までの流れ図
- .登録
腕から2ml採血をしてHLA型(白血球の型)を調べ、そのデータを登録します。 - .検索
HLA型をコンピューターに登録し、患者さんと照合検索します。提供候補者の一人として選ばれたときに連絡が来ます。 - .説明
専門のコーディネーターから骨髄提供についての詳しい説明を受けます。 - .同意
提供に同意してサイン、採取、移植の日程が決まります。
ドナーさん、患者さんのドキュメント
ドナーさん、患者さんのそれぞれの流れです。
骨髄を提供するドナー
- 自己血採血
- 骨髄液採取後の貧血軽減のため、ご自分の血液を1~3週間前に1~2回採血して保存します。
- 入院
骨髄採取前日に入院(3~5日)して検査を受けます。
- 麻酔
- 当日の骨髄採取は全身麻酔下で行われます。
- 採取
- 手術室でドナーの腰(腸骨)から、注射器で骨髄液を吸引します。
➡採取された骨髄は、患者さんの待つ病院に運ばれて骨髄移植されます。 - 退院
採取後は数日内で退院し、日常生活に戻ることができます。
退院後は定期的にコーディネーターが電話で健康状態を確認し、体調が回復するまでフォローアップします。
末梢血幹細胞を提供するドナー
- 入院
3~4日間、白血球を増やす注射をします。
- 採取
- 白血球を増やす注射をした4日目または5日目に、腕から3~4時間かけて採取します。
- 退院
通常、採取の翌日に退院します。採取後は数日内で退院し、日常生活に戻ることができます。
退院後は定期的にコーディネーターが電話で健康状態を確認し、体調が回復するまでフォローアップします。
移植を受ける患者さん
- 前処置
- 1~2週間前から抗がん剤や放射線照射を受けて、自分の造血細胞をなくします。
- 移植
採取された骨髄液(または末梢血幹細胞)は直ちに無菌室で待つ患者さんに運ばれ、点滴で注入されます。
- 造血開始
移植後10日から2週間で正常な血液をつくり始めます。
- 社会復帰
- 健康な新しい血液をつくれるようになった患者さんは、退院して普通の生活が送れるようになります。